【後悔する前に】大企業エンジニアが40代で転職した話。使えない大手社員にならないために。
はじめに
この度、大手企業に勤めていたアラフォー(40代)のエンジニアが転職しましたので、その際の体験を記事にしておこうと思います。
転職に正解はありませんので、数多ある転職事例の一つとして参考になればと思い、記事を書きます。
記事内に宣伝や忖度は一切ありませんので、安心してお読みください。
筆者は20年間エンジニアとして大企業と中小企業の両方で半分ずつ働いており、現場とマネージャも両方経験しています。
若手の頃に小さな企業で数年間ベンチャー精神を味わったこともあり、4つの企業での仕事を経験しています。
転職が一般的になりつつあるとはいえ、30歳以上の転職は仕事だけ見てもかなりのリスクを伴います。
家族がいる場合は長期的な勤務地の見込みや年収の見通し、家族の説得条件など、考えるべき要素の複雑さは一気に跳ね上がります。
先に言っておきますが、転職は非常に大きなエネルギー(前向きな気力と体力)が必要です。
20代であっても、転職活動を始めて退職手続き、入社手続き、新しい職場で慣れる所まで1年は大変な上に成果の出づらい日々が続くと思った方が良いです。
家庭のある40代の場合は言うまでも無くさらにエネルギーが必要です。
私自身そこまで気落ちするタイプでは無いのですが、転職活動において4kg程度は痩せました(笑) 仕事をしながら転職活動をするので、休日も全て無くなりハードな日々になります。
筆者の職業は電気通信エンジニアですが、ハードウェア開発というよりはソフトウェア寄りの仕事でしたので、WebエンジニアやITエンジニアと近い職種と思ってもらっても問題無いです。
転職理由
個人情報に触れずに説明することができないため概要しか書けませんが、下記のような理由から転職をしました。
・筆者の転職理由
- 自己の技術的なキャリアと会社の方向性に違いを感じたため
- 現在の会社体制や仕組みでは自身が持つ人脈や得意領域を活かし切れないと考えたため
- 10年以上の長期で見た会社の成長性に疑問を感じたため(社内でスキルチェンジを模索する可能性に魅力を感じなかった)
転職活動中、心に留めておきべきこと
私自身が、転職活動中は下記のような点を心に留めていました。
・長期的な目線で決断をする
負の感情で転職活動を始めることも実際には多いとは思います。
ですが最終的には長期的な目線で、内定をもらった会社で自分が成長する未来を描けた段階で決断をしましょう。
転職後、数年は慣れない仕事が上手く行かない前提で頑張れる強い思いと、今まで現職で得てきたノウハウや信頼の大部分を捨てる覚悟が必要です。
「今の職場が不満だから」程度であれば社内環境を改善する取り組みをおすすめします(笑)
・年収アップは「指名オファー」が来るようなケース
正社員から正社員の転職を考えた場合、20代なら大手へ転職して年収アップ!という狙いはアリです。
40歳前後で転職した年から年収が上がるということはどちらかというと稀ではないかと思います。
前職で課長をやった事の無い人を課長として採用はしませんよね?
もちろん転職後に数年頑張って、実力が認められれば可能性はあります。
最初から高い年収を提示してもらうには、役職に対して指名スカウトが来るような人でないと狙いづらいかもしれません。
※正社員でなくフリーランスや起業などであればこの限りではありません。
・仕事が楽しいかどうかは主体性と好奇心
楽しい、楽しくないで転職を考えるような方は、物事の楽しみ方を見直すのも1つの手。
仕事も家事もやり方次第で楽しむことはできるはずで、体性を持って自分の興味に結び付けるような活動を自ら推進することが大切です。
それが自分で作れないから転職をしても、楽しめない状況はあまり変わらない可能性が高いように思います。
自分だけでなく部下が主体性を持てていないのならその人に自由を与えているか、最低限管理しなければいけないのは何かを常に考えています。
主体性や好奇心は、行動に何らかの自由度があって初めて生まれる物です。やる気も必要ですが、やる気だけでは主体性や好奇心は生まれません。
・体調が最優先
心身に重大な問題が起きそうな場合は長期視点や見直しは必要ありません。
すぐに専門家に相談し適切な判断を受け、専門家が休むべきというのなら休養しましょう。会社が休養させないのなら辞めるのも躊躇はいりません。
日本では専門家の診断があれば、辞める側が不利益を被らないような仕組みはしっかりできています。
病名診断を受けるほど心身を消耗してしまうと、一時的な給料よりも長期的に多くの物を失うことになります。
40歳前後の転職市場
・転職エージェントの重要性
会社の正社員を目指すのであれば、転職エージェントを利用すべきだと思います。
理由は、個人で直接企業に応募した場合、内定をもらうまで年収が全くわからないからです。
転職エージェントは特定の業界に精通していることが多いため、この業界でこのスキルなら年収いくらくらい、という目安を教えてくれます。
20代ならそれほど年収に開きはありませんが、40代では会社や評価によって年収や待遇に非常に大きな幅があります。
個人応募ももちろんしても良いですが、転職エージェントへの相談も併用して業界全体の動向把握をした上で判断した方が良いと思います。
・良い求職は決して多くない
20代なら再転職もそれほど難しくありませんが、40代では転職に失敗しても簡単に次が見つからないと思った方が良いです。
40代では基本的に今後の自己成長性はあまり考慮されません。自らの現在持っているスキルのみで評価されます。
いわゆる、即戦力です。
また、面接の中で転職先の企業文化への理解と適応性を経営や人材育成の視点を踏まえて示す必要があります。
特に専門性の高い技術職の場合これらを満たし、かつ家庭の両立もできるような場所に通勤できるような企業はすぐには見つからない方が普通です。
・40歳前後の転職は「出会い」
40歳前後の転職において、20代のようにスキルがあるからという理由だけで入社できることは少ないと思います。
40歳ともなれば人格も完成されていますし、マネジメント能力もほぼ必須です。自分の職場に年齢の高い人を入れるのですから、スキル以上にその人が職場に適応できそうかという観点で見ています。
募集条件が非常に良くてスキルがマッチしていても、面接で話してみると価値観がズレていることが良くあります。
自分の価値観はあまり無理に合わせて言い方を変えたり隠さない方が転職後に成功すると考えています。
40歳の転職は、良い職場との「出会い」という側面があると思います。
・求められるスキル
40代エンジニアになると、単純な技術スキルと実績をアピールする必要があるのは当然のこと、20年も社会人をしてきた自分なりの仕事観やキャリア論を持っていないと、質疑で困る場面が多いです。
日頃からスキルの棚卸しをしておかないと、すぐにはアピールできないと思います。
技術スキル、マネジメントスキルに加えて社内調整スキルも立派なスキルです。
実績と共にアピールできることを意識して普段から仕事に取り組めば、どんな仕事でもアピールできる所は出てくるものです。
近年の転職市場
・Web面接の導入
新型コロナ中においても、転職市場全体を見ると特別不利な状況ということはありませんでした。
むしろ、採用面談はWebでも可という企業が増えているため、平日の夜などに面談を入れることが可能になりました。
新型コロナ後の2023年においても、世の中は異なるスキルや知見を取り込むための中途採用が活発になっています。
以前は転職といえば天下りのような物が多かったですが、現在は40代でも昔よりはスキルマッチングによる転職がやりやすくなっていると思います。
40歳前後の中途採用面接
・一次面接(職場面接)
職場面接では、即戦力としてすぐに入ってもらえそうな仕事があるかイメージしてもらえるかどうかが大切です。
中途採用の職場面接では、基本的に所属部署の所属長が面接します。
中途採用する人を新人より遥かに高い人件費で雇うため、入社月からその人にマッチしそうな仕事を割り振る必要があります。
配属してすぐにフル回転で活躍できる必要は全くありませんが、配属部署でうまく仕事に入れそうかという、技術面と人物面での活躍イメージを所属長に持ってもらう必要があります。
そのためWeb上に自分が何をできるのかがわかるコンテンツを公開していると理解してもらいやすいように思います。
Webエンジニアやクリエイターであれば自身のポートフォリオ、技術者であればQiita等の技術記事や学会発表・論文投稿・講演、営業職やコンサルタントなら業界記事を執筆したり他者の書いた記事に対する自身の考察を発信するなど、日頃から長期的にしておくと有利だと思います。
前職の社内で第一人者でした!頑張りました!だけでは採用する方も判断が難しいです。
応募者が言うことのみの情報では確定材料が少ないため、技術レベルにおいてはブレ幅のリスクを見て評価せざるを得ません。
・二次面接以降(役員面接)
役員面接では、自身が企業文化を理解し適応性を示した上で、具体的にどういう貢献をできるのかを熱く語る必要があります。
貢献内容は実務の話ではなく、経営課題や人材育成の視点を踏まえて話せると、より良いのではないかと思います。
内部の状況が多少実情と違ったとしても、外から得られる企業情報を元に応募者が考え、自分のスキルレベルを把握した上での提案ができるかどうかを見ていると思いますので、何かしら貢献できることを具体的に提案すべきだと思います。
必要程度の大小はありますが、どれほど技術レベルが高くても企業文化を全く無視したプレゼンは問答無用で落ちる可能性があると思います。
転職によって変わること
転職をすると仕事を巡るほとんどのことはリセットされます。前職が長いほど転職後の職場に慣れるのは大変で、慣れるのは短くても1年、慣れない人は永遠に慣れないかと思います。具体的には下記のようなことが変わってきます。
・仕事の流れ
技術的に同じであったとしても、会社が違うと仕事のやり方は大部分が変わると思った方が良いでしょう。
仕事相手も違えば、職場の同僚も違います。仕事の質を重視するかスピードを重視するか、それすらも変わるため、数年は慣れない仕事になるのは間違いないと思います。
・社内システム
社内で使えるシステムやファイルサーバ、自分のパソコンのソフトなどもほぼ全て変わることになります。
普段から「ツールが変わったら使えないよ~」とか言っているおじさんは覚悟した方が良いですね(^^;
・経営理念、働き方の文化
会社が変わると、目指す理念が変わります。
本人は関係無いと思っていても、少なくとも所属長は経営理念に則って目標や方針を立てているはずですので、求められる働き方は変わります。
また、服装やメールの丁寧さ、上司の呼び方なども全て違うため、ちょっとしたことで職場の人から(その会社の物差しで見ると)非常識と思われてしまうかもしれない、と思って行動する必要があります。
海外の人と仕事をするつもりで、あらゆる前提を捨て、礼節を保って社内の人と接しましょう。
転職を迷う方へ
いくつかの視点で私のおすすめを書いておきます。
・会社の良い所にこだわる
それぞれの仕事・職場の「良い所」を見て、自分のこだわるポイントが良いかどうか、という視点で判断することをおすすめします。
「悪い所」の荒探しをして欠点の少なそうな仕事に転職しても、悪い所はどんな職場にも必ずあるので入ってから新たな悪い所に気付きます。
それよりも、良い所は会社の文化であることが多いので、そこさえ一致していれば悪い所は気になりにくいですし、入ってからゆっくりと自分で改革し改善することもできます。
逆に、現在いる会社の文化が好きなのであれば、転職先で満足するためのハードルは上がると思った方が良いでしょう。
・職の安定性にこだわるか、やりたいことをやるか
このバランスは永遠のテーマのようなものなので答えはありません。私は、転職活動を通じて得た現職維持を含む複数の選択肢の中で、「悪く見積もっても当面家庭が破産しないリスクは見た上で、失敗しても後悔しない選択肢」を選びました。
20代であっても、収入が無く毎月貯金が減っていくという状態は想像以上に精神を消耗します。最低限の生活が送れる収入基盤はなるべく途切れさせないことをおすすめします。
無収入の期間を作るにしても、「次の職を決めた状態で休職期間中にチャレンジをする」、あるいは「現職を続けながら新たなスキルを勉強する」なら良いですが、「会社を辞めてスキルを習得してから転職活動しよう」というのはかなり危険だと思います。
さらに、40代でやりたいことをやる場合、これまで述べた通り20代よりもリスクは遥かに大きいです。必ずやり抜く覚悟と気力と体力が無いのなら転職というリスクを選択しない方が良いと思います。
現職を維持する選択肢が取れる方は、内定をもらったとしても辞めるかどうかはもう一度考える価値があると思います。転職活動をしたことで、現職への考え方も変わっているはずだからです。
・貯金に余裕を持っておく
転職では様々な大きな変化が起こりますので、見込みよりも財力に余裕を持って行動しましょう。
少しの手違いで1か月無収入になったり、色々な初期投資が必要であったり、引っ越しが必要であったり、これ以外にも何が起きるかわかりません。
住宅ローン等は1度でも支払い延滞すると金利優遇等が全て取り消された上にクレジットカードの作成や保険加入などのハードルが上がるため、一生損をすることになります。
・保険類は先に見直しておく
転職活動前に(できれば普段からですが・・)、生命保険や入院保険は見直しておくことをおすすめします。
転職後の福利厚生がどうなっているかは通常入社するまでわかりません。また、転職活動中は非常にハードなので体調を崩す可能性も高いです。
転職に限らず、一度入院や大きな病気になってしまうとその後少なくとも数年間は健常者の条件で保険に加入することは絶望的です。慢性疾患になると一生割高の保険にしか入れません。
・普段からスキルの棚卸しとアピールできる実績を整理する
繰り返しになりますが、普段から自身のスキルと市場価値を把握しておきましょう。
感情的・突発的に転職するのは絶対におすすめしません。失敗するリスクが高いと思います。
私のやり方としては、数年に1回、履歴書を作成していました。
履歴書を作成してみることで、何か自分の履歴書がパッとしないな、と感じると、どういう方向性の実績があれば魅力が出てくるかの方針が立てやすいのでおすすめです。
おわりに
今回、アラフォー(40歳前後)のエンジニアが転職するという体験をしましたので、少しでもどなたなの役に立てばと思い、転職時の心境をまとめてみました。
色々と思う所が多く、6000字を超える記事になってしまいました。。長くてすいません(^^;
変化の時代、転職という選択肢が日本でも一般的になってきたと言えると思います。一方で、今まで日本人は自分の市場価値をわからずに仕事を続けてきた人も多いと思います。
自分の市場価値を長期的な目線で把握するのが、転職をするしないに関わらず、新たなキャリアを積むための第一歩ではないかと思います。
長期的な目線を持つためにも、まずは仕事も趣味も家事も、主体性と好奇心を持ってやってみましょう。
どんな作業も楽しめると思って取り組むと、別の事をしている時に関係性を見つけたり、知識が役立ったり、自分が本当にやりたかった事に気付いたりするものです。
この転職について、転職後半年程経った後日談も投稿しましたので、そちらも是非お読みください!
長い文章を最後まで読んで頂いてありがとうございましたm(_ _)m
おわり。
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この記事を書いた人 Wrote this article
kenshi2009
大企業と中小企業🏢で半分ずつ働いている40代の現役エンジニア🔧💻 この変わったキャリアで誰かの役に立ちそうなことを発信します。電気通信分野で量産開発と研究開発、ハードウェアとソフトウェア、プレイヤーとマネージャー、全て練り歩いてきました。ブログ歴も23年、奈良好き🦌 Twitterにほぼ毎日います!【SNS一覧:https://lit.link/kenshi2009】