大企業新入社員が辞める前に考えること。第二新卒のメリットは少ない
大企業の第二新卒は、新卒と同じ扱い
第二新卒に明確な定義は無いと思いますが、概ね学校を卒業後3年以内の転職活動中の人を指すと思います(博士課程の方を含めるかは微妙)。
転職市場においては第二新卒は需要あり!!辞めよう!!等と煽っているWebサイトもありますが、正直言って大企業における第二新卒は、新卒と同じ扱いです。
この記事では、大企業の新入社員に下記のような事を考えて欲しくて書いています。
- どういう時に第二新卒として転職を考えるべきか
- 第二新卒のメリット、デメリット
- 辞める前に準備すべきこと、考えるべきこと
筆者は20年間エンジニアとして大企業と中小企業の両方で半分ずつ働いており、現場とマネージャも両方経験しています。
若手の頃に小さな企業で数年間ベンチャー精神を味わったこともあり、4つの企業での仕事を経験しています。
私は大手企業の電気通信エンジニアから、2021年に転職しました。その理由や転職活動については最後に紹介する記事に細かく書いてあるので、是非ご覧ください!
第二新卒として転職する価値のある理由
ベンチャー企業であれば2~3年で事業を立ち上げた実績等があるかもしれません。
ですが、大企業であれば2年程度働いてようやく研修が終わってお試し期間が終わった状態の所が多いです。
大企業に2~3年勤めて転職活動をしても、新卒と同じ扱いをされるでしょう。
ただし、だからと言って辞めてはいけないわけではありません。
新卒が3年以内に退職する価値がある理由をいくつか挙げてみます。
・心身に重大な問題が起きそうな場合
体調が最優先です。
周りからも心配されるほど疲れ切って未来に絶望したり無気力になってしまうようなら、退職に躊躇はいりません。
すぐに専門家に相談し適切な判断を受け、専門家が休むべきというのなら休養しましょう。
会社が休養させないのなら辞めるのも躊躇はいりません。
日本では専門家の診断があれば、辞める側が不利益を被らないような仕組みはしっかりできています。
病名診断を受けるほど心身を消耗してしまうと、一時的な給料よりも長期的に多くの物を失うことになります。
・明確にやりたいことが見つかり、1からやり直し、やり抜く覚悟がある
「今の職場が不満だから」「楽しくない」程度であれば社内環境を改善する取り組みをおすすめします(笑)
長期的な目線で、今後5年はこれでやり抜いて1つの強みを作る、という意気込みで新しい取り組みを始める覚悟があるのなら、転職を決断するのはアリです。
ただし転職後、数年は慣れない仕事が上手く行かない前提で頑張れる強い思いと、今まで現職で得てきたノウハウや信頼の大部分を捨てる覚悟が必要です。
第二新卒のメリット
・社会を少しだけ見ている
少しだけ社会人生活をしているので、明確にやりたい方向性が見えた人もいるかもしれません。
インターン等で実感できなかったが1~2年働いてみてようやくわかった、という場合は第二新卒の面接でもそこをアピールできる可能性があります。
やりたい理由が自分の中で確立し力強くアピールできるようになれば内定を勝ち取れる業界が広がるかもしれませんが、給料水準には影響しないでしょう。
業界平均給与が高い業界に転職することによって上がることはあり得ます。逆に言うと、新卒と比べた明確なメリットはこれくらいしか思いつきません。。
・最低限のビジネスマナーを身に付けている
少しだけ社会人生活をしているので、新入社員研修でやるようなビジネスマナーは現場も数年経験して身に付いていると思います。特に大企業であればしっかりと研修を受けていると思ってくれます。
ただ半面、大企業からの社員は動きが鈍いという認識を持たれていることが多いです。そのため、面接で「3年間で自律的に動いてこんなことをした」とアピールできるとベターです。
第二新卒のデメリット
・同期がいなくなる
特に大企業にこの傾向が強いですが、日本はまだまだ新卒同士の横の繋がりで仕事が成り立っている面があります。
中途社員割合はせいぜい20%程度の会社も多いです。
新卒の時には頼りになった同期達ですが、第二新卒で入った会社で新卒と一緒に楽しめるかというと、普通よりはハードルが上がるでしょう。
SNS等で繋がりを作ることもできますが、同期がいない孤独な気分は少なからずあるということを覚えておきましょう。
・キャリア形成としての価値がほとんどない
大企業に3年いたからと言って大きな成果を残せる人はほぼ皆無と言っても良いと思います。
幹部候補の新卒が「成果にさせてもらった」人はいるかもしれませんが、社内でチヤホヤされたとしても、社外でそのアピールが通じるかというと、通じないと思っていた方が良いでしょう。
とはいえ、無駄な時を過ごすくらいであれば転職を決断する意味はあります。
大企業に3年いた程度でセカンドキャリアとは言えない、という点だけは覚悟しておきましょう。
・家族に心配される
大企業に入るような家庭は、親世代だと「この子はこれで安泰だ」などと思っている人がまだまだ予想以上に多いでしょう。
実際にそんなことはないというのは現代の若手世代であればわかっていると私は信じていますが、家族との対話はしっかり行ってなるべくスムーズに退職しましょう。
余計な揉め事で転職後の仕事に影響することにもなります。
・給料が下がる
ほぼ新卒扱いなので、平均給与が高い業界へ転身しない限りは、給料が下がると思っていた方が良いでしょう。
会社の正社員を目指すのであれば、転職エージェントを利用すべきだと思います。
理由は、個人で直接企業に応募した場合、内定をもらうまで年収が全くわからないからです。
転職エージェントは特定の業界に精通していることが多いため、この業界でこのスキルなら年収いくらくらい、という目安を教えてくれます。
個人応募ももちろんしても良いですが、転職エージェントへの相談も併用して業界全体の動向把握をした上で判断した方が良いと思います。
・大企業にいて大企業ブランドを実感していないのなら要注意
大企業は、当たり前の仕事をしているだけでも仕事を発注している業者などにチヤホヤされます。
少し仕事を覚えて発注業者がコントロールできるようになり、自信がついた時が一番危ないです。
その仕事は、今の恵まれた環境で成り立っており、退職したら全て無くなるということを覚えておきましょう。
これを実感しているのなら良いですが、退職しても同じことができると思っているのなら大変大きな間違いです。
・大企業のお金の使い方は浮世離れしている場合がある
大企業は部署単位で儲かっていなくても投資ができます。
会社全体で投資分野を決めており、そこに合致すればお金がもらえるからです。一方、中小企業では稼いでからでないとお金が使えません。
「モノが無いと始まらないよ」とか言っている人は大企業から飛び出さない方が賢明です。。
・福利厚生の「団体割引」は大企業だけのことが多い
必ずしも大企業だから福利厚生が良い訳では無く、住宅補助や資格手当等は人材育成や人生の節目への考え方なので企業の大きさにはあまり関係ありません。
ただ、傾向として「団体割引」のようなメリットは大企業だけです。具体的には生命保険や車の保険、大手量販店での割引などです。
退職する前にすべきこと
・転職活動を始める
必ず!転職エージェントに登録して転職活動を始めましょう。
会社が潰れた等の余程の事情が無い限りは、内定をもらってから退職してください。
例え20代であっても、収入が無く毎月貯金が減っていくという状態は想像以上に精神を消耗します。
最低限の生活が送れる収入基盤はなるべく途切れさせないことをおすすめします。
無収入の期間を作るにしても、「次の職を決めた状態で休職期間中にチャレンジをする」、あるいは「現職を続けながら新たなスキルを勉強する」なら良いですが、「会社を辞めてスキルを習得してから転職活動しよう」というのはかなり危険だと思います。
現職を維持する選択肢が取れる方は、内定をもらったとしても辞めるかどうかはもう一度考える価値があると思います。転職活動をすることで、現職への考え方も変わっているはずだからです。
・会社を辞める条件を明確にしておく
「会社を辞めたくなる理由」と「会社を辞める条件」を混同にすると必ず後悔します。
会社を辞めたくなるきっかけは給料が安い、上司が嫌い、人間関係に悩む、・・色々あるのはわかります。
ただ、転職するのはあくまでキャリアアップを条件に考えておきましょう。
「今の会社を辞めたい⇒嫌な事がある」をもっと言語化し、「転職して何をしたいか」を明確に描くこと。
すると今の会社の何が最も許せないか、つまり辞める条件が見えてきます。
面接で志望理由聞かれて「嫌になったんで他社受けに来ました〜」と言って合格するわけが無いのはわかるはずなんですが。中途採用面談をしていると、実質こう言ってくる人は本当に多いです。
私も転職する時、辞める時は抱えている仕事に未練が無くなった時、やりたい仕事をやらせてもらえなくなった時、と決めていました。結果的にその時は同時に来ました。
また転職先を決める時も、そこで何をするかをイメージ出来た会社を選びました。
具体例になるかわかりませんが、以下に筆者の転職した話をまとめています。
・会社の良い所を把握しておく
それぞれの仕事・職場の「良い所」を見て、自分のこだわるポイントが良いかどうか、という視点で判断することをおすすめします。
「悪い所」の荒探しをして欠点の少なそうな仕事に転職しても、悪い所はどんな職場にも必ずあるので入ってから新たな悪い所に気付きます。
それよりも、良い所は会社の文化であることが多いので、そこさえ一致していれば悪い所は気になりにくいですし、入ってからゆっくりと自分で改革し改善することもできます。
逆に、現在いる会社の文化が好きなのであれば、転職先で満足するためのハードルは上がると思った方が良いでしょう。
・貯金に余裕を持っておく
転職では様々な大きな変化が起こりますので、見込みよりも財力に余裕を持って行動しましょう。
少しの手違いで1か月無収入になったり、色々な初期投資が必要であったり、引っ越しが必要であったり、これ以外にも何が起きるかわかりません。
車や教育ローン等は1度でも支払い延滞すると、一生損をすることになります。
金利優遇等が全て取り消された上にクレジットカードの作成や保険加入などのハードルが上がり、住宅ローンも借りれなくなる恐れがあります。
・生命保険などの利用を考えている場合、退職前に入っておく
生命保険などは、大企業であれば団体割引が大きく費用を抑えることができます。
退職しても継続できる保険も多いので、辞める前に良く確認して活用できる保険は先に入っておきましょう。
転職後の福利厚生がどうなっているかは通常入社するまでわかりません。
また、転職活動中は非常にハードなので体調を崩す可能性も高いです。
転職に限らず、一度入院や大きな病気になってしまうとその後少なくとも数年間は健常者の条件で保険に加入することは絶望的です。
慢性疾患になると一生割高の保険にしか入れません。
・普段からスキルの棚卸しとアピールできる実績を整理する
繰り返しになりますが、普段から自身のスキルと市場価値を把握しておきましょう。
逆に、それをしていないのなら、感情的・突発的に転職するのは絶対におすすめしません。
失敗するリスクが高いと思います。
私のやり方としては、数年に1回、履歴書を作成していました。
履歴書を作成してみることで、何か自分の履歴書がパッとしないな、と感じると、どういう方向性の実績があれば魅力が出てくるかの方針が立てやすいのでおすすめです。
おわりに
今回、大小4つの企業で働いた体験を持つ私が少しでもどなたなの役に立てばと思い、退職して第二新卒となる前に注意した方が良い点をまとめてみました。
変化の時代、転職という選択肢が日本でも一般的になってきたと言えると思います。
一方で、今まで日本人は自分の市場価値をわからずに仕事を続けてきた人も多いと思います。
市場価値を長期的な目線で把握するのが、転職をするしないに関わらず、新たなキャリアを積むための第一歩ではないかと思います。
長期的な目線を持つためにも、まずは仕事も趣味も家事も、主体性と好奇心を持ってやってみましょう。どんな作業も楽しめると思って取り組むと、別の事をしている時に関係性を見つけたり、知識が役立ったり、自分が本当にやりたかった事に気付いたりするものです。
同じ企業に残るのも全く悪いことではなく、自分が進みたい方向を常にイメージしつつ、定期的に見直すことが大切です。
実際に筆者が転職した話については下記の記事に詳しく書いてありますので、そちらも是非お読みください!
長い文章を最後まで読んで頂いてありがとうございましたm(_ _)m
おわり。
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この記事を書いた人 Wrote this article
kenshi2009
大企業と中小企業🏢で半分ずつ働いている40代の現役エンジニア🔧💻 この変わったキャリアで誰かの役に立ちそうなことを発信します。電気通信分野で量産開発と研究開発、ハードウェアとソフトウェア、プレイヤーとマネージャー、全て練り歩いてきました。ブログ歴も23年、奈良好き🦌 Twitterにほぼ毎日います!【SNS一覧:https://lit.link/kenshi2009】