日本企業の従業員はなぜ仕事への熱意が低いのか 世界最低エンゲージメントの背景

日本企業の従業員はなぜ仕事への熱意が低いのか 世界最低エンゲージメントの背景
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日本の企業文化における従業員のエンゲージメントの低さは、長年にわたる重要な課題とされています。

主な原因は、頑張っても報われないからです。
企業に所属する事の安定性が抜群で、その企業に残るために必要な事は「頑張って成果を出す」事では無く、「問題を起こさず真面目にタスクをこなす」ことです。

この問題が特に若者のやる気を削ぐ一因となっています。

本記事では日本企業で働く人がエンゲージメントを高めるために出来ることについて考察します。

筆者は20年間エンジニアとして大企業と中小企業の両方で半分ずつ働いており、現場とマネージャも両方経験しています。
若手の頃に小さな企業で数年間ベンチャー精神を味わったこともあり、4つの企業での仕事を経験し、社外団体でも数多く活動しています。

日本企業文化とエンゲージメントについて

従業員のエンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとは、従業員が自分の仕事に対してどの程度熱心で、やる気があり、組織のミッションにどれくらい共感しているかを示す指標です。

エンゲージメントが高い従業員は業務に対する責任感が強く生産性も高いため、結果的に組織全体のパフォーマンス向上に寄与します。

日本企業はエンゲージメントが低い

日本社会においては、企業に長く勤めることが美徳とされ、安定を求める風潮が根強く残っています。

この安定志向が過度に強調されると個人の創造性や革新性を阻害し、組織全体の活力を奪うことになりかねません。
エンゲージメントの低下は、企業の生産性や競争力にも影響を及ぼし、国際競争の中で日本企業が後れを取る一因になります。

【参考サイト】
日本企業の従業員はなぜ仕事への熱意が低いのか 世界最低エンゲージメントの背景

古き日本の企業文化は「現状維持」

古き日本企業は人を大切にすると言われてきましたが、実態を紐解くと「組織を現状維持しようとする」という方が正しい表現だと思います。
個々人のキャリアに目を向けているのではなく、組織を維持するために後継者を大事に育てているだけです。

さらに、若者に成果を持たせるどころか、若者が成果を出しそうなら大量のおじさんが群がって来て「私が絡んだ成果です」と成果を吸い取って分散する仕組みが非常に強固に出来上がってしまっていました。

効率主義と完璧主義が阻害したチャレンジ精神

現在の日本企業は効率主義・完璧主義が過ぎるかなと感じます。日本はすっかり安定に慣れてしまって、臭い物にフタをする文化が強いです。

安定し過ぎた環境では、創造的なアイデアや革新的なプロジェクトが生まれにくく、結果として企業の成長を阻害します。

ビジネスの世界では、リスクを取って新しいことに挑戦することが、しばしば大きな成功につながることがありますが、日本企業ではこれが困難です。このような文化が続く限り、日本企業はグローバル市場での競争力を維持することが難しくなるでしょう。

もっと一見無駄に思える様々な「ちょっとやってみた」という取り組みに寛容になるべきです。

企業が求めるものは「服従」から「結果」へ

高度成長期を経た日本大企業が求めていたのは「結果」ではなく「服従」でした。

日本の大企業では依然として「正規社員の職を得たら会社が守ってくれる」という文化が根深く残っています。
この文化が従業員自らの創造性や自主性を抑制し、組織全体の活力を低下させる要因となっています。

近年変わりつつあると言えども、「絶対服従」から「ある程度服従しつつ、会社が求めている方向性の結果も求める」という無茶ぶりに変わった面もあります。

会社がしっかりと守ってくれる制度は今も健在ですが、事業や子会社ごと切り離す手段で事実上の人員カットをする企業が近年相次いでいます。

同じ職場でぬくぬく働いていると、いずれキャリアで「詰む」(どの会社、どの職場にも必要とされなくなってしまう)かもしれないという不安を、誰もが抱えている時代です。

エンゲージメント向上のために必要な企業変革

「会社が求めている方向性」、つまり経営層のビジョンに対して従業員に賛同してもらうというプロセスが、これまでの日本には欠落していたと思っています。

会社から仕事を押し付けられる文化では、従業員が経営層のビジョンに賛同し、自らの意志で組織の目標に向かって行動することが難しくなります。結果として、従業員は自分の意見やアイデアを発信する機会を失い、組織全体のイノベーションが停滞します。

エンゲージメントを向上させるためには、個人と組織の関係性を再構築し、従業員が自らの成長を実感できる環境を整えることが重要です。
今後の日本企業は、従業員と共に進化する道を模索するべきです。ビジョンを示し、多様な価値観を受け入れ、変化を恐れずに挑戦する文化の構築が急務です。

活気ある社会とエンゲージメントの高い組織であるために

エンゲージメントを高めるためには、変化を受け入れる社会と組織の存在が不可欠です。

社会は、大企業が多少変な事をしても暖かい目でスルーする、大企業は多少言われたくらいで再発防止とか無駄な時間を使わない。
社会全体が新しい動きを受け入れることで、個々の企業もまた新しい挑戦をすることが可能になります。

色々な動きが起こる活気ある社会・組織でしか、エンゲージメントが得られる仕事は発生しません。

与えられた業務では成長出来ないという認識は、間違い

言われた業務だけをこなすことが求めらる職場も多いですが、たとえ言われた業務であっても、そこには必ず成長の機会が含まれています。
自分からエンゲージメントを高めるためにも、自ら成長の種を見つける姿勢が重要です。

例えば、業務の中で効率や品質を上げるための新しい方法を考え出したり、プロジェクトを通じてチームをリードするスキルを磨いたりする事も可能。
チームを元気にするためにランチ会を開いたりやお菓子を持ち寄るなど、仕事内容以外での職場貢献も会社ではしっかり評価される事がほとんどです。

小さな挑戦が積み重なることで大きな成長へと繋がり、小さな経験の集まりが将来的にキャリアを形成する上で大きな武器となります。

結論:これからのキャリア形成は「熱意」

若手社員が将来へ不安を持つ気持ちはとても良くわかります。

しかし、不安を解消するために「スキマ時間にとりあえず色々な分野を勉強する」「潰しの効く資格を色々取っておく」のは個人的にオススメしません。
個別の技術やスキルは速いスピードでトレンドが変わりますし、目的に対して必要だと思えば習得できる良質な教材がいくらでもあります。

30歳以降で求められるのは浅いスキルの幅ではなく、ビジネスや研究を成し遂げる熱意と実績です。熱意を持って取り組める物を増やし、熱意を持って取り組んだ履歴こそが重要です。

熱意とは、特定の目標や活動に対する強い興味や情熱を指します。
これは単なるモチベーションを超え、自らの行動を駆り立てる原動力となります。

熱意を持って取り組むことで、自己成長が促進されます。新しいスキルを学ぶ意欲や、フィードバックを受け入れる姿勢が生まれ、結果として専門性が高まります。

5年スパンで「今の自分にとって」大きい事を成し遂げる

1つの目安として、3年~5年程度で「今の自分にとって」大きいと思える何かを成し遂げる事を目標にしてみましょう。

若いうちから、5年スパンで会社で何かを成し遂げたと言えるような実績を意識して働いていれば、不安よりも「今、自ら推進したいこと」が出てくるはずです。

例えば、まず目標設定をして、現状を把握し、何をするか(アクションプラン)を考えます。
定期的に進捗を振り返る必要も出てくるはずです。

それに向かって貪欲にスキルを習得して実践で使っていきましょう。
5年で明確に区切る必要は無いですが、数年以上の中期目標を設定する事が大切です。

それでも何か学ばないと不安だと言う方は、「統計学」「経済学」あたりを学んでおくのはオススメです。

数字とお金の感覚を養っておくと、あらゆる場面での選択で確率的、経済的に筋の良い選択が見つかりやすくなります。
このセンスはどんな職業、どんな人生でも役に立ちます。

まとめ:日本は本来働きやすいはず

先が見えない時代と言われていますが、現在は様々なITツールで取り組んだフィードバックの可視化が容易です。

また、日本は世界で比べても治安が安定しており、集中して取り組める環境が揃っているはずです。

自分や周囲の人の力を信じて進んでいきましょう!

最後まで読んで頂いてありがとうございましたm(_ _)m

この記事を書いた人 Wrote this article

けんし

大企業と中小企業🏢で半分ずつ働いている40代の現役エンジニア🔧💻 この変わったキャリアで誰かの役に立ちそうなことを発信します。電気通信分野で量産開発と研究開発、ハードウェアとソフトウェア、プレイヤーとマネージャー、全て練り歩いてきました。ブログ歴も25年、奈良好き🦌 X(旧Twitter)@engineer_deerにほぼ毎日います!